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よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.24

よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.24

週刊かふう2019年6月21日号に掲載された内容です。

相続問題は、なんくるならない

相続についての情報が氾濫している今日ではありますが、相続人間で予想されるトラブルや不動産の抱えている問題を事前に解決することが、大切なご家族の幸せに繋がるものと考えます。相続問題は、なんくるならない!1年間ご愛読ありがとうございました。

Q.将来の相続において留意すべき点をご教示願います。

 私は今年70歳になり、息子3人も結婚したことから終活について考えるようになりました。私には兄弟がいませんので、父からの相続時には揉める要素もなく、相続に関心がありませんでしたが、子供たちの将来を考えると先祖代々の財産をどのように承継させるかを真剣に考えるようになりました。「なんくるないさ」「相続対策をしないと大変なことになる」等さまざまな声を聞きます。将来の相続において留意すべき点をご教示願います。

A.法律や不動産等の基礎知識が必要となり、場合によっては専門家との相談も必要となります。

 相続に関しては、「うちは財産が少ないから大丈夫」「うちの子供たちは仲が良いから」との考えで、問題を先送りしているケースが多いのではないでしょうか。お元気なうちに、将来トラブルが生じることはないか、どの子にどの財産を残そうか等の検討が重要となります。そのためには、法律や不動産等の基礎知識が必要となり、場合によっては専門家との相談も必要となります。このような場合の留意点等について解説いたします。

よくわかる 不動産相続の勘所 Q&A File.24

解説1 法律に関すること

(1)法定相続人
 相続については、民法により相続人が定められています。前妻との子がいる場合や、配偶者と兄弟が相続人である場合等には揉めることも予想されます。また連絡の取れない相続人がいる等、相続手続きに時間がかかる場合もあります。このような場合には、遺言等での対応が必要となります。

(2)遺産分割協議
 相続が発生すると原則として遺産分割協議を行い、相続人全員の合意により財産の承継が確定します。すなわち、一人でも反対者がいる場合にはその財産は、承継者が確定せず共有状態となり、単独での活用が出来なくなります。

(3)遺言の活用
 遺言の活用については、トラブルが生ずると予想される場合において有効となります。ただし、不動産については、将来の活用(分筆が必要かどうか、収用や再開発等の可能性)についての理解が大前提となります。これらについては法律の専門家では対応できない事もありますので、不動産会社へのご相談をお勧めします。

解説2 その他の留意点

(1)相続人の経済状況
 遺産分割に備えて、相続人の家族関係及び経済状況を把握しておく必要があります。相続人の中には母子家庭や障害者のいるケースもあり、将来の生活の支援も念頭に置く必要があります。

(2)相続税の理解
①財産は3代でなくなるのか
相続により「財産は3代でなくなる」ともいわれますが、相続税については最長20年の分割納付が可能です。したがって、納税のために財産を処分せざるを得ないのは、一部の高額納税のケースに限定されるものと考えます。国税庁のホームページで県内及び全国の納税状況を閲覧できますので是非ご覧下さい。

②節税対策のデメリットはないか
相続に関して皆様が最も関心があるのは節税に関する事でしょう。仮に節税(配偶者の税額軽減、小規模宅地の評価減等)になる場合であっても、遺産分割方法により将来トラブルが生ずることはないのか、また節税のための投資により将来リスクはどの程度か等の把握が重要となります。

(3)専門家の活用について
 相続問題については、法律や税務、不動産等に関する知識が必要となります。例えば、民法における不動産の「共有物の分割」が可能であっても、分割によりそれが利用可能か、また節税となる不動産の分割であっても相続人が利用可能でなければ意味がありません。これらを理解した上で、それぞれの専門家へ相談する必要があります。

まとめ 万人に当てはまることはない

 相続に関するセミナーまたは書籍等で「相続に関する〇対策」「節税のための〇対策」の説明等があります。これらについては、特定の方または地域によって有効なケースもありますが、万人に当てはまらないことを理解する必要があります。相続問題を含め、物事にはメリットとデメリットがあることを十分に認識する必要があります。

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