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知っておきたい 相続の基礎Q&A File.9

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.9

週刊かふう2020年5月22日号に掲載された内容です。

賃貸と相続(賃貸人死亡)について

自分たちの相続でなくとも、契約関係のある人に相続が発生した場合、対応が必要となることがあります。
今回は契約関係のある賃貸人が死亡し、賃貸人の相続人間に争いがありそうな場合、賃借人としてどのよう義務を負うのか、どのような対応が考えられるのかを見ていきましょう。

Q.アパートが手狭になったため、土地を借りてその借地上に家を建てて生活を始めました。

 私たち夫婦は、40年ほど前に子どもが産まれ、それまで住んでいたアパートが手狭になったため、土地を借りてその借地上に家を建てて生活を始めました。
 しかし、子どもが独立し、私達夫婦も高齢になって少しずつ日常生活に不自由をきたすようになってきたので、二人で将来、介護サービスを受けられる施設に引っ越すかどうか話し合うようになりました。とは言っても、すぐに移るわけではなく、今はまだ情報を集め始めた段階です。
 実は、地主さんが最近亡くなったらしく、地主さんの娘さんから、自分が土地を引き継ぐとのことで、今後の地代は娘さんの口座に振り込むよう言われました。ところが、さらに地主さんの息子さんと名乗る方から文書が届き、その内容は地代を息子さんの口座に振り込むよう求め、そうでなければ立ち退きを求めるというものでした。
 私たちとしては、どちらに支払えば良いのかわからず困っています。今後、地代をどうすれば住み続けられますか。また、将来、建物を収去して介護施設に引っ越す場合、どうすれば地代を払わなくて良くなるでしょうか。

A.土地の賃貸人である地主さんが亡くなっていますが、賃貸借関係はそれで終了するわけではありません。

 本件では、土地の賃貸人である地主さんが亡くなっていますが、賃貸借関係はそれで終了するわけではありません。亡くなった地主さんの賃貸人としての地位が、土地を相続する相続人に当然に承継されます。賃貸人が死亡したからといって再契約をする必要はありません。
 ですが、本件では、地主さんの子どもが複数いるようです。
 地主さんの賃貸人としての地位を相続するのは、本件の土地を相続した相続人ですが、現在は、誰が本件の土地を相続したかわからない状況です。
 まず、このような場合でも、相談者が地代を支払わなかった場合、賃貸借契約上の義務である賃料を支払わなかったものとして取り扱われてしまいますので、賃貸借契約を解除されてしまう可能性があります。したがって、地代は支払う必要があります。
 地代の支払い方法としては、一般的には銀行口座への振り込みが指定されることが多いですが、振込先が亡くなった人の口座であった場合、口座が凍結されてしまいます。
 法的に厳密に言うと、遺言がない場合の賃料の取り扱いとしては、遺産分割協議が成立するまでの賃料については法定相続人間で法定相続分に応じて按分となり、遺産分割協議が成立した後の賃料については遺産分割協議で当該不動産を取得した相続人が取得することになります。
 しかし、賃借人が賃貸人の相続関係を正確に把握して厳密に支払うことは現実的ではありません。
 このような場合、「供託」と言って供託所(法務局)に地代を提出する手続きをとることで、地代を支払った扱いとなります。供託された地代は、後に地代を受け取る権限のある人が供託所に必要な書類を提出して受け取ることになります。
 また、土地の賃貸借の解除についてですが、これは賃貸借契約の内容次第でケース・バイ・ケースとなりますが、本件土地を相続した人がわからない場合は相続人全員と賃貸借契約の終了について通知及び協議を行うべきでしょう。例えば、賃貸借契約の内容として、賃貸借契約解除の通知をすることで解除が認められる内容だったとした場合、遺産分割未了の場合は相続人全員に解除の通知を送る必要があります。

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.9

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