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知っておきたい 相続の基礎Q&A File.8

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.8

週刊かふう2020年4月24日号に掲載された内容です。

内縁と相続について

価値観が多様化し、夫婦のかたちもさまざまになってきました。夫婦としての実体を備えながらも、あえて籍を入れずに生活していく方たちもいらっしゃいます。このような方たちが相続の場面で考えなければならないことがらについて、見ていきましょう。

Q.私は、20年前に妻に先立たれてしまいました。

 妻に先立たれてから、ふさぎ込みがちだったのですが、同じ職場に早くに旦那さんを亡くした私と似た境遇の女性がおり、その方が何くれとなく助けてくれ、私は無事に定年退職を迎えることができました。
 私とその女性は、退職後、一緒に住むようになりました。私はこの女性を家内と呼ぶようになり、事実上の夫婦のように生活するようになりました。再婚するかを2人で話し合ったのですが、亡くなった妻との間に生まれた私の一人息子が再婚に反対している状況なので、籍は入れずに2人で生活しております。
 私たちが生活している土地建物は、私が父親から受け継いだもので、私名義のものとなっています。
 ところで、最近、私が健康診断を受けたところ、要再検査と判断され、精密検査の結果、重い病気を患ってしまっていることがわかりました。
 それがきっかけで、私が死んだ後のことを考えるようになったのですが、私が死んだ後も家内がこの家で生活していけるでしょうか。配偶者居住権の制度が始まったと聞きましたが、家内もこれを利用して今までどおり生活していくことができるのでしょうか。もし利用できなければ、どのような方法が考えられるでしょうか。

A.相談者と一緒に住んでいる女性との関係のように、婚姻届を役所に提出していないだけで、事実上の夫婦としての社会的実体がある男女の関係を内縁と言います。

 相談者が家内と呼ぶ女性は、相談者にとっては内縁の妻にあたることになります。
 内縁の妻には、内縁の解消の場面(法律上の婚姻の場合で言えば離婚の場面に対応します)では離婚に準じた権利が認められていますが、相続の場面では、婚姻に準じた権利義務は認められていません。
 つまり、内縁の妻には法定相続分は認められていません。もし今現在、相談者が亡くなられた場合には、息子さんのみが相談者の相続人となります。前回ご紹介した配偶者居住権の制度も、法律上の婚姻関係にある夫婦の場合しか利用できませんので、内縁の妻は配偶者居住権を取得することはできません。
 そのため、仮に現在相続が発生したとすると、息子さんのみが法定相続分を持っていますので、息子さんのみが相続人となり、内縁の妻が現在の建物に居住し続けられるかは息子さんが許可するかどうかにかかってきます。
 相談者が自分の死亡後も内縁の妻にこれまでどおり現在の建物で居住させてあげたいというお考えであれば、現在生活している土地建物は内縁の妻に相続させるという内容の遺言を作成することが考えられます。他にも、相談者が元気なうちの贈与、いわゆる生前贈与をすることも考えられます。
 これらの方法をとれば、内縁の妻が土地建物の所有権を取得できるので、相談者の死後も、内縁の妻が建物に居住して生活していくことができます。
 ただし、そうした場合、息子さんの遺留分を侵害してしまうことにならないか注意が必要です。この場合の息子さんの遺留分は、遺産の2分の1ですから、それだけの遺産を息子さんに相続させなければ、息子さんから内縁の妻に対して遺留分侵害額請求がされてしまうかもしれません。
 また、遺言などで内縁の妻に相続させる場合も、相続財産の価額によっては相続税が発生します。法律上の婚姻関係にある妻であれば、相続税の税額軽減など各種特例措置が認められていますが、内縁の妻の場合は、それらを利用することはできませんので、その点でも法律上の婚姻との違いが出てきます。

知っておきたい 相続の基礎Q&A File.8

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