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教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第22回 共有名義での困りごと

教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第22回 共有名義での困りごと

不動産の困りごとや相談で多くよせられるのが共有名義でのトラブル。よく耳にする言葉ですが、内容は多様で複雑な事例が多いのもこの問題の特徴。そんな共有名義問題について、不動産コンサルの視点から解決策を見いだしていきたいと思います。

 

週刊かふう2023年11月10日に掲載された内容です。

 

不動産の共有名義と問題点

 一つの物を複数の人が共同で保有していること、つまり各共有者が共有持ち分権という権利を持っている状態のことです。共有の場合には、共有者が単独で物を売却することができません。特に土地や建物の不動産が共有名義になっていると、全員の意見がそろわなければ売却や賃貸、有効活用などが難しくなります。
 とは言え、相続に関しては平等にしたいというのもわかります。不動産を所有する親とすれば、どの子供にも同じく愛情を注ぎたいものですから、子供たち全員を共有名義にするケースも多いですね。また、親から受け継いだ不動産を取りあえず兄弟間で共有名義にしたという場合や夫婦で不動産を購入した時に共有名義で購入したという事例もあります。
 皆が平等なので良いように思えますが、問題は共有名義にした時点ではなく、その後にあります。例えば共有者の生活環境・経済状態の変化でそれぞれの価値観が違ってきたり、共有者が亡くなった場合には人や数も変化します。このように複雑化してくれば、財産をどうするかなどの問題が発生した場合はより難しくなってきます。

どのように提案を見いだせるのか

 共有名義の不動産を相続した場合なら、その不動産を売却して共有者で分ける「換価分割」や、相続人の一部が単独で不動産を取得しその代金相当額を代償金として他の相続人に支払う「代償分割」があります。また、相続財産を複数に分割(分筆)し、それぞれを単独所有する「現物分割」も解決策の一つです。そうしたいくつかの方法がありますが、それでも着地点がなかなか見つからないというのも共有名義の難しい所です。
 もちろん、もめている場合に近道はありません。私が不動産コンサルとして大切にしていることは、共有者一人一人の気持ちを丁寧に傾聴するということです。どんなことが問題になっているのかを見極め、司法書士や弁護士からそれに相応した専門的な意見を取り入れながら提案をしていきます。

丁寧なヒアリングから解決策を模索

 本コラムの読者で相続財産を受け継ぐことになったAさんの事例を紹介します。Aさんが親から聞いていた内容は、「将来、仏壇を継ぐ長男(Aさん)だけに相続財産を残したいと考えていたけど、取りあえず子供たちの共有名義で(親が)手続きをした」という内容でした。さらに共有名義の登記完了から時間が経過し、各共有者の生活環境の変化や一部の共有者が亡くなったことで、さらに共有者が増えることになっていました。
 Aさんからすると、親の意思通り仏壇を継ぐので共有名義を単独名義にすることは法律的に可能なのか、また、それに絡んださまざまな問題を解決してほしいというご相談でした。
 そこで私は、各共有者へ不動産資産の活用方法の選択肢を広げることを提案していきました。現在抱えている問題に対して不動産や資金を活用して、どう将来へ繋げていくかに目を向けるようにすることです。
 ここで、各共有者の置かれた生活環境などのヒアリングが大いに役にたちました。共有名義の問題は、個々の立場や要望・意思など、複雑なことが絡み合っていることが多いものです。問題をそのままにしておくと家族の関係がさらに悪化し、ストレスを抱えてしまうことになりかねません。
 結果、Aさんは、打ち合わせを重ねていくことで、さまざまな選択肢を知り、ご自身の納得する選択肢の決定を行うことができました。このケースでは第三者的な立場を活かしてコミュニケーションの改善を図ったことが、解決に役立ったと思います。時間を置けば置くほど当事者だけで解決するのは難しくなりますから、まずは専門家に相談することをおすすめします。


 次回は「不動産コンサルの役割」について、お話いたします。


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