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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

現在も未来も変化自在、約35帖の大空間を楽しむ

現在も未来も変化自在、約35帖の大空間を楽しむ

DATA
設  計: 建築設計あ うん
      担当/濱崎幸夫
敷地面積: 324.90㎡(約98.28坪)
建築面積: 137.61㎡
延床面積: 112.97㎡(約34.17坪)
用途地域: 未指定地域
構  造: 補強CB造
完成時期: 2021年9月
建  築: 和川組
電  気: ライン電工
水  道: 栄門水道工事社
ガ  ス: マルヰ産業株式会社
      担当/知名正幸

100坪に迫る広い敷地は、大きな平屋にもラクラク対応。
その土地の採光や通風を暮らしに取り入れ、家族のニーズへ柔軟に変化する住まいを実現しました。

※週刊かふう2022年2月4日号に掲載された内容です。

現在も未来も変化自在、約35帖の大空間を楽しむ

通風性を極めた伸びやかなプラン

 ゆったりと続くアプローチをたどった先に現れた、端正なフォルムがモダンな印象を放つM邸。取材を楽しみに待っていたというご家族全員が、にこやかに出迎えてくれました。
 玄関ドアを開くと、大きめのソファーセットを置いたリビングからアイランドスタイルに仕立てたキッチンスペース、約10帖の子ども部屋、濡れ縁のあるテラスまで、一体感にあふれた空間が広がります。
「ここは実家の裏手になります。実家は風の通りがあまり良くなくて、それで私たちがマイホームを建てるときは通風と採光を優先事項にしました」と話すMさん。
 その言葉の通り、濡れ縁が続く掃き出し窓から心地よい風が屋内を吹き抜けていきます。
「この通風の良さは、廊下の奥にある物干し場への開口部や花ブロックを採用した外塀が風の通り道を作っているおかげですよ」と、Mさんが快適さの秘訣(ひけつ)を語ります。

 マイホーム計画に取りかかった当初、住宅完成見学会を廻りながら奥さまと理想のイメージをいくつも挙げていったそうです。しかし、相談した建設会社に「これはできません」とダメ出しされる経験もあったとのこと。そんな中、建築設計あ うんの濱崎幸夫さんはMさんたちの想いをくみ取った上で、さらなる快適やコストダウンを可能にするプランを提案してくれたのだそうです。

現在も未来も変化自在、約35帖の大空間を楽しむ

経験者のアドバイスは実り多いわが家の基

 プランも固まりつつ、キッチンや浴室の設備について検討する段階になりました。
「幸い、妻の同級生に住宅設備機器の卸業をしている方がいて、調達をお願いすることになりました」と話すMさんの言葉を引き継ぎ、奥さまが「同級生に最初に質問されたのは『コンロは、ガスとIHのどちらにする?』でした」と当時を振り返ります。
 親戚宅のキッチンの使い勝手について話を聞いたり、その時に住んでいたアパートで便利に使っていたガス衣類乾燥機を取り付けたいと考えるなど、身近な人たちや自らの経験を総合して考慮した結果、ガスコンロを選択することにしました。

「この決定から、わが家のさまざまな箇所の住宅設備が次々と決まって行きました」と話す奥さま。
 システムキッチンを横付けした耐力壁には、学校からのお知らせなど紙類をマグネットでとめる家族の連絡ボードを取り付けることにしました。
「似たような機能がある壁紙も考えましたが、より強く付いて耐久性も高いというマグネットボードを選びました」
 さらに浴室は、これまでのライフスタイルも考えてバスタブを省略したシャワールームとしました。

現在も未来も変化自在、約35帖の大空間を楽しむ

開放感にあふれる回遊型レイアウト

 冒頭でも触れましたが、伸びやかな広がりがMさん邸の魅力です。家の中を自在に駆け回る子どもたちを見て笑顔の奥さまは「毎日が運動会のようです」とうれしそう。
 ドアに引き戸を採用して空間の柔軟性を高め、例えば子ども二人が共用する部屋は、個室が必要になるまでは1室として使い、時が来ればキャスター付きの収納家具を中央に移動して空間を二つに分ける予定だそうです。

 家の中央に配置したキッチンはリビングの両サイドからアクセスできる回遊型のアイランド風に。主寝室とサニタリースペースをウォークスルーで結ぶファミリークローゼットも、引き戸を開け放つと回遊型の動線が可能となります。また花ブロックで囲んだ物干し場は、サニタリー側と主寝室横から出入りでき、こちらも回遊型を実現しています。

 家族全員が毎日楽しく、開放感に満たされて過ごしているMさん邸。
「学校にお迎えに行って家に向かうとき、みんなでいう掛け声は?」と奥さまが問うと、「わが家に帰るぞー!!」と元気よく答える子どもたち。
 入居から約3カ月。すでに、住まう家族にとって〝愛する場所〟となっています。

写真ギャラリー

設計・施工会社

沖縄市登川2-22-10 1-A

現在も未来も変化自在、約35帖の大空間を楽しむ

その敷地や周辺環境を読み、光と風の通り道をひらく。
琉球風水を取り入れて居住性を高めた自由設計を。

建築設計あ うん/濱崎幸夫さん(主宰)

 例えば玄関は東側に設け、水回りは西側へまとめる。沖縄で先人たちが脈々と伝えてきた、住まいに関する知恵が琉球風水です。その決まり事をベースにしつつ、クライアントの希望に添う自由設計を提供しているのが、建築設計あ うん主宰の濱崎幸夫さんです。

「クライアントが住みやすい環境を提案し、創造するサポートが私の仕事です」と濱崎さんは言います。
 実家の敷地内にマイホームを建てることになったMさんたちの希望は、風通しが良く、採光に富んで明るく、玄関前にヒンプンを設け、天井を高く、部屋を区切らず、予算内で統一感のある住まいに仕上げること、と多岐にわたっていました。それらの一つひとつに込めたMさんたちの考えにできる限り応えるようプランニングに臨んだそうです。

「最初に敷地の風向きや光の方向を読み取り、琉球風水の考え方に沿った建物の配置を考えました」
 東側と西側に大きめの開口部を設けて、廊下を介した風の主たる通り道を確保。将来的にスペースを分ける子ども部屋は、2室分の開閉可能な地窓をあらかじめ設置して家のすみずみまで風が吹き抜けるよう工夫しています。ルーバーを併せて取り付けており、防犯の配慮も行き届いています。
「琉球風水では水回りは西にまとめますが、Mさん邸でも主寝室からシャワールームまでを西に配置して、来客時も気にせず移動できる生活動線を実現できました」

 建物の西側は、太陽の光が降り注ぐトップライトを設けた物干し場を創造しています。その壁に花ブロックを採用して、通風性を高めながらも外部からの視線を遮る心づかいがされています。
 リビング横に設けた多目的に使える濡れ縁の前は、トップライトのある庇を長くせり出し、玄関前まで続くよう設計しました。
「半屋外の車庫のような感覚で雨に濡れずに乗り降りしたり、荷物を玄関まで移動できるよう考えました」

 Mさんがとても使い勝手が良いと喜ぶサニタリーのタオル収納棚は、「住みやすい環境」のために建築途中で追加したビルトインの造作です。
 これら設計そのもののほか、材料や広さに関して細かく説明するよう心がけているという濱崎さん。社名で表現した「あ うん」の心通わせるポリシーで、クライアントの満足を創造しています。

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