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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

16.4坪に凝縮されて広がる 心地よい暮らしと洒落たデザイン

16.4坪に凝縮されて広がる 心地よい暮らしと洒落たデザイン

DATA
所在地:那覇市
設計:アトリエ・ダグ・アーキテクト(担当/下地恒)
敷地面積:54.21㎡(約16.39坪)
建築面積:24.08㎡(約7.28坪)
延床面積:45.08㎡(約13.63坪)
用途地域:第2種中高層住居専用地域
構造:鉄筋コンクリート造(壁式構造)
完成時期:2013年5月
建築:株式会社 南山開発(担当/浦崎)
電気:城間電機(担当/城間)
水道:有限会社大皓設備(担当/伊山)
キッチン:アトリエ・ダグ・アーキテクト(担当/下地)

都心に見つけた16.4坪の小さな敷地に、夫婦二人の豊かなライフスタイルを叶える“こだわり”が盛りだくさんの狭小住宅です。

※週刊かふう2021年2月5日号に掲載された内容です。

16.4坪に凝縮されて広がる 心地よい暮らしと洒落たデザイン

都心の中で出会った売り地の立て看板

 夫婦二人の住まいを求めて、小さな家を探究することにしたSさん。当初は25坪前後の敷地を探していましたが、なかなか コレ! と思う土地に出会えずにいたところ、交通網が充実する利便性に優れた場所でふと目に留まったのが「売り地16坪」の立て看板でした。求めている広さには届きませんが、その看板の連絡先に電話をしてみることに。
「電話の主は、その売り地の地主さんでした」
 と話すSさんが土地の背景を聞いたところ、土地区画整理事業の結果として生まれた小さな面積とのこと。その後、話はトントン拍子に進み、Sさんが思い描く暮らしのニーズと住まいとしての居心地の良さを思いっきり凝縮した家を建てることにしたそうです。

16.4坪に凝縮されて広がる 心地よい暮らしと洒落たデザイン

小さな家を彩る、内に開かれた豊かさ

 購入した土地の周りは高さのある集合住宅やビルが林立し、隣地の建設予定もアパートとのことで、いわゆる住宅密集地でした。そこで、那覇市の地区計画に定められている道路から1メートル、隣地境界から50センチメートルまで躯体の広さを取って間口2.8メートル×奥行き11.6メートルの細長い家にすることに。「ウナギの寝床」と呼ばれる京町屋のイメージを重ねて 外は閉じ、内に開かれた住まい を基本プランに設計をスタートさせました。
「第一に、どの部屋からも眺められる坪庭のある家にしたいと思いました」
 とSさんが話すように、幅3メートルの重厚感のある木製引き戸を開けて中に入ると、躯体の中央に屋上まで吹き抜ける約2.7坪のパティオ(中庭)が設けられ、自然光のトップライトが屋内に光を届ける洗練された空間が広がっています。
「新築から数年間はオープンルーフにしていたので、玄関を兼ねたパティオまで太陽光や雨が降り注いでいました」
 と笑うSさん。ご家族の希望もあり日除けや雨よけのために、現在は天井の開口部をテントのようなシェードでカバーしていますが、そのおかげで心地よいほの暗さが生まれ、一層のリラックス効果を高めています。
 パティオから入って右手にはビーグの琉球畳を敷いた約4畳半和室。漆喰の壁は大胆なタッチの油絵のように塗り跡を残して味わい深さを醸しています。その奥には板間の収納スペースを配置、ワンクッションおくことで奥行き感を演出することができるそうです。
「ゆくゆくは1階だけで生活できるよう、設備を整えています」
 との説明通り、狭小住宅では珍しくバスルームやトイレが1階と2階に設けられており、先ほどのエントランス中央にある池はバスタブとしても使えるよう造られ、和室の床の間の裏手にはトイレを配置しています。
 エントランス左手のキッチンとダイニングは、この広さに納めるためすべてオリジナルサイズの造作家具にしたとのこと。ダイニングテーブルの高さを抑えペンダントライトや造作家具のサイズを小さめに、キッチンフロアの高さをダイニングよりも下げるなど、空間を実際以上に広く感じさせる視覚的な工夫が凝らされています。

16.4坪に凝縮されて広がる 心地よい暮らしと洒落たデザイン

開放的な屋上デッキと断熱効果のある庭園

 木製の階段を上がって2階へ行くと、壁一面をビルトインクローゼットにした寝室が1つ。クローゼットの取手には、小泉誠さんという家具作家が手がけた革製品を使っています。
 中庭からの吹き抜けを挟んでバスルームと洗面、トイレ、ランドリースペースをまとめたユーティリティスペースが配置されています。寝室とユーティリティスペースを結ぶ渡り廊下の途中に、ハシゴが2つ!?
「寝室の上には屋上緑化の庭園が、ユーティリティスペースの上にはウッドデッキが設けられていて、このハシゴで上がって行けます」
 まさに都会のオアシスという形容がふさわしい魅力満載のお宅です。
「私はお風呂に入った後、そのままウッドデッキに上がって、のんびりとくつろいでいますよ」
 というSさん。敷地16.39坪、延床面積13.63坪で繰り広げられる暮らしは、住まいの広さでは語れない心豊かなライフスタイルを教えてくれました。

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