あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

長寿を願う2世代同居の家に、各人の個性を映し出す

長寿を願う2世代同居の家に、各人の個性を映し出す

DATA
所在地:浦添市
設計:築・建築計画設計事務所(担当/下地秀喜)
敷地面積:228.00㎡(約68.97坪)
建築面積:95.09㎡(約28.76坪)
延床面積:169.05㎡(約51.13坪)
用途地域:第一種低層住居専用地域
構造:鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
完成時期:2020年1月
建築:株式会社朝日ホーム21
電気:有限会社久貝電気設備(担当/久貝)
水道:連進工業(担当/知花)
キッチン:タカラスタンダード株式会社(担当/高原)
木工事:有限会社赤嶺光一材木(担当/赤嶺)

ご両親と同居するCさんの長年の夢を実現した、ヨーロピアンスタイルの個性あふれる住まいづくり。

※週刊かふう2021年3月19日号に掲載された内容です。

長寿を願う2世代同居の家に、各人の個性を映し出す

都土地の取得に21年、念願の地に描く夢の家

 Cさんが理想の地に出会ったのは21年前のこと。後背となる東側に隣接する公園には歴史を感じさせる石垣、見事な桜並木の遊歩道が伸びる眺めがあり、ご両親と同居する家の周辺イメージにぴったりと当てはまりました。しかし地主さんは売買になかなか首を縦に振ってくれず、粘り強い交渉の末にようやく取得できたときには長い年月を経ていました。
 現時点で両隣に住宅はなく、土地の持ち主の話では「住宅は境界線から離れた位置に建設する予定」とのことで、将来にわたる開放感を約束されたようなものです。この地でCさんは「両親が長生きする家」と「趣味を反映した家」を2大テーマに、家づくりに取りかかりました。

長寿を願う2世代同居の家に、各人の個性を映し出す

両親の長寿を願い、夫婦の時間も大切に

「自分の家はこんなスタイルで」と想像したり検討する時間はたっぷり。建築業という職業柄、土地の取得までに数多くの住宅を見てきたというCさんは、自分の中で設計イメージを何度もブラッシュアップして固めていったと言います。
 家で一番の特等席、すなわち公園に面する東側にご両親の部屋を配置したい。1階フロアはバリアフリー、壁と階段に手すりを設置、歩行器を利用するお父さまのためにドアは引き戸に。そして暖房や乾燥機能を備えたバスルーム、床下や屋根裏の換気による調湿機能など、年を重ねても暮らしやすい住空間を整えたそうです。
「仏壇にはまだ誰もいらっしゃらない。両親には『長生きして欲しいから仏壇の扉は閉めておくよ』と日々伝えています」と冗談交じりに笑います。
 リビングや和室からアクセスできるタイル張りの広いテラスには、木製のガーデンテーブルとチェアをセットしています。テラス越しに緑の庭を眺めたり、バーベキューを楽しんだり、夜にはロマンチックなライトアップのもと心癒される時間を過ごしているとのこと。
 2階はCさんご夫妻が会話を楽しむゾーンです。2帖半という大型収納のウォークインクローゼットを備えた8帖の寝室、寝室とほぼ同じ広さを取ったご夫妻専用テラス、仲間と〝おやじバンド〟を楽しむCさんのための防音室などを造りました。防音室にはカラオケセットも設置しており、お母さまも歌唱を楽しんでいらっしゃるそうです。
 屋上は眺望と広さを活かしたルーフバルコニーへ。春には桜の花見、夏から秋にかけては花火大会を家に居ながらにして見物できる、なんとも贅沢なスペースです。暑くなったら、お孫さんをビニールプールで遊ばせようと計画中とのこと。

長寿を願う2世代同居の家に、各人の個性を映し出す

個性を活かしたこだわりのデザイン

「浦添市景観まちづくり計画条例」に指定されるこの地区では、瓦屋根や琉球石灰岩を取り入れた外観や緑地の確保など、統一感のある街並み形成について協力が求められます。もともとヨーロッパスタイルの外観を考えていたCさんは、屋根の一部に琉球赤瓦を使って南欧風に仕上げることに。その色と調和する赤レンガのタイルを張った外壁は温かみのあるクリーム色を選択、瀟洒なファサードが印象的です。
 屋内に目を向けると、高級感を醸し出すダークブラウンの腰壁、空間の奥行きを感じさせスタイリッシュに演出するリビングの折り上げ天井、ガラスコーティングされて輝く1階のフローリング、和室からテラスを望む粋な雪見障子など、いたる所にCさんのこだわりが見つかります。
 風水やスピリチュアルに興味がある奥さまの嗜好は玄関の棚や階段のニッチを利用したオブジェなどで表現され、リビングの大型テレビは韓国映画が大好きなお母さまのために。テレビ後方の壁はマグネット付きの収納ラックを自在にレイアウト変更できるホーロー製の建材を採用してお孫さんの写真を飾っているところも、ご家族への愛情深いCさんらしさが表れています。
 一方、3カ所ある出窓の下に収納スペースは造りませんでした。
「出窓の下部の収納スペースは床面積に加算されて、固定資産税に反映されるので」
 とランニングコストで節約できる部分はしっかり調整しています。
 大人のための、家族それぞれのための、時には孫や親族も含めた4世代のための住まい。心豊かに楽しむ空間を各人の個性で彩るCさん邸は、人生を謳歌する喜びで満ちあふれています。

写真ギャラリー

このカテゴリの記事