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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

インフィニティプールをしつらえたプライベートリゾートなセカンドハウス

インフィニティプールをしつらえたプライベートリゾートなセカンドハウス

DATA
設計:スリースターズ株式会社
 (担当/中江ゆみ・宮里歩)
敷地面積:162.20㎡(約49.06坪)
建築面積:80.49㎡(約24.34坪)
延床面積:169㎡(約51.25坪)
構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
用途地域:未指定
完成時期:2021年5月
建築・電気・水道:スリースターズ株式会社
 (担当/松本裕明・宮里正信)
キッチン:株式会社クラフト
 (担当/本村梓)

2021年5月に完成したNさんのセカンドハウスは、個人住宅では非常にめずらしいインフィニティプールを備えた家。親族総勢20人がそろってテーブルを囲むリビングダイニングを中心に、ホスピタリティに満ちた空間が広がっています。

※週刊かふう2021年8月20号に掲載された内容です。

インフィニティプールをしつらえたプライベートリゾートなセカンドハウス

プール、景色、理想の空間。どれも譲れなかった理由

 ところどころに畑の緑が広がる、読谷村ののどかな住宅地。太陽に映える真っ白な3階建ての外観に、インフィニティプールが魅せる水色のライン。玄関の扉を開けると子どもたちの弾んだ声が階上から降り注いできます。
 複数の家族が集まるにぎやかな温もりとラグジュアリーな住まいの雰囲気が心地よく溶け合うNさんのセカンドハウス。そこには、非日常のリラックスを追求したNさんの思いとこだわりが集積されていました。
 土地は祖父が生前にアセロラ栽培をしていた約300坪の畑地の一角。当初は収益を兼ねた土地活用も検討していたそうですが、「休日に親族が集まる場があるといいよね」となり、セカンドハウスの計画へと移行。その時からプールの造設は「第1条件だった」と言います。
「みんなが一緒になって楽しめるし、プールがあれば、兄弟それぞれが営む会社の保養所や取引先をもてなすゲストハウスとしても魅力的だし、きっと喜んでもらえるだろうと」
さらに「設置場所は海が見える最上階。スタイルはインフィニティプール。プールの西側は透明のアクリルでシースルー、水と空が一体となる浮遊感を実現すると決めていました」と振り返ります。
「実は実家がすぐ隣で、幼少の頃は2階の窓からも海が見えたんです。その時の景色がずっと記憶にあって、どうしても再現したかったんです」
 個人住宅では例をみないNさんの構想に多くの建築会社が難色を示すなか、手を上げたのが総合建設業(株)スリースターズ。これを機に全体の設計コンセプトを「ホテルライク」として固め、Nさんいわく「設備やデザインはもちろんですが、最も大事にしたのは心からリラックスできるかどうか。できた箱に自分たちを合わせるのではなく、ライフスタイルや動線に合った建物・空間を作ってもうら、いわば『逆算』の発想でプランを進めていきました」。
 そのために過ごし方を綿密にシミュレーションし、まずは家具や設備の選出を行い、配置を決めた上で設計を固めるという異例のスタイルを採用。
「半年かけてプランを練ったかいあって、完成はイメージ通り。何一つ悔いのない仕上がりです」

インフィニティプールをしつらえたプライベートリゾートなセカンドハウス

1棟まるごと「もてなし」のエスプリに満ちて

 1階はゲストのための寝室ゾーン。ホテルのツインルームをほうふつとさせるベッドルームが2部屋と、ゲスト専用のバスルーム、さらには、子どもたちのお泊まりを最高に盛り上げてくれるロフトスタイルの寝室が配置されています。
 2階は、4世帯5家族・計20人がゆったりと過ごせる開放感あふれるリビングダイニング+キッチンと、Nさんご夫婦の主寝室がある住まいのゾーン。主寝室にはバスルームと、パウダルーム+オープンクローゼットがしつらえられており、スムーズな動線とプライバシーが確保された極上の空間になっています。
 3階はプール、ジャグジー、BBQが楽しめる、天空のリゾートゾーン。つい設備の充実さに目が行きがちですが、Nさんのこだわりは「大人も子どもも同じ場所に居ながらにして、それぞれの過ごし方が満喫できること」とほほ笑みます。そして1番のお気に入りのシーンと時も「この場所に」とも。
「プールごとあかね色に染まる夕刻のひと時や、夜になるとライトアップされる幻想的なプールの雰囲気がすごくいいんです。ビールの旨さも格別ですよ」

インフィニティプールをしつらえたプライベートリゾートなセカンドハウス

美意識とおおらかさの調和で、みんなを繋ぐ場になる

 Nさんが目指したホテルライクな快適性は細部にわたり、例えば照明はすべて調色や調光ができるLEDライトを採用。必要な場所に最適な明かりをともし、シーンごとに調整しながら演出効果を高めています。また、電化製品やIT機器の配線などは徹底して目隠し。生活感のない、洗練された美空間が際立ちます。 
 その一方で、子どもたちには室内でも思い切っり遊んでほしいという思いから、リビングダイニングの床は傷がつきにくく、万が一傷がついても修繕しやすい硬質樹脂タイルを選択。壁も自分たちで気軽に補修ができる塗装仕上げにしました。
「自宅は分譲マンションなので何かと気遣いが生じますが、ここならジャンプも追いかっけっこもOK。みんな相当楽しんでいますよ」とNさん自身も嬉しそうです。美しい整いの中にも、子どもの立場になった快適さをかなえる優しさが息づいています。
「この家ができたことで、兄弟やいとこ、みんなで集まる機会が増えました。子どもたちや孫の世代もここがあることをきっかけに集まったり、協力し合うという気持ちを忘れない、そんなつながりの場になってほしいと思っています」

写真ギャラリー

設計・施工会社

宜野湾市赤道1-5-1

インフィニティプールをしつらえたプライベートリゾートなセカンドハウス

主とともに「真の快適」を探求し、見聞を深めて設計に反映
インフィニティプールの造成にはオリジナルの技術も導入

(二級建築士:中江ゆみさん 担当:中江源太さん)

 施主さまが思う「理想」に寄り添いながら、プロとしての知見や技術をもって、理想を「最高」のものへと昇華させる自由設計の家づくりを行っています。今回のNさん邸はまさにその原型でした。まず、インフィニティプールの造成は弊社でも初の試みでしたが、積載荷重の懸念はRC構造自体が頑丈であることや、プールありきの設計だったので荷重見込みの構造計算でクリアし、Nさんの夢をかなえる一歩を踏み出せました。
 一方、困難を極めたのがインフィニティプールの浮遊感を高めるアクリル板の調達です。防水性や強度の確立など非常に高い技術を要するため、最終的には美ら海水族館のアクリルパネルを製造した専門業者をたどり、同じ技術で防水を施しました。アクリル板を使用したインフィニティプールは、おそらく県内初ではないでしょうか。  


 また、常に一定の水量をたもてるよう、自動的に給水・止水するシステムを弊社独自で開発し設置しています。
  間取りにおいては、コンセプトの「ホテルライク」を追求すると、家具ありきで設計でなければ本当の意味でのストレスゼロの動線や所作はかなえられない。そのために家具選びから携わり、使用感や所作のシミュレーションを重ねることで、コンセントの位置1つ1つにもこだわりのある、過ごす人に優しい空間を目指しました。それと同時に、時には「快適性を高めるアイテムや演出とは?」という答えを求めて、Nさんとともに高級ホテルや関東圏で展開する高級住宅のショールームへと足を運び、体感による情報収集を行いました。これらの収穫は照明プランやインテリア、空間デザインなどに反映されています。
 建物躯体の大きな特徴は、弊社が造る建物はすべて屋上と外壁にシリコン系遮熱塗料を採用しており、建物自体が熱くなることを防ぎ、空調にかかる省エネをも実現できることです。さらに耐久性の高さから外観の美観維持にも貢献します。
 私たちスリースターズでは完成イメージを3D画像で提示しており、Nさんにも「すごく分かりやすかった」と喜んでいただけました。特に、今回のケースのような“普通とはちょっと違う”住まいづくりに際しては、より効果を発揮するように思われます。

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