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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

カフェテイストに空間をコーディネートした日常が楽しくなる家

カフェテイストに空間をコーディネートした日常が楽しくなる家

DATA
設 計: スリースターズ 株式会社  
     (担当/宮里歩)
敷地面積: 174.75㎡(約52.86坪)
建築面積: 83.25㎡(約25.18坪)
延床面積: 129.34㎡(約39.12坪)
用途地域: 第一種低層住居専用地域
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2023年4月
建  築: スリースターズ 株式会社
     (担当/宮里正信)
電  気: スリースターズ 株式会社
     (担当/宮里 正信)
水  道: スリースターズ 株式会社
     (担当/宮里正信)
キッチン: 株式会社LIXIL 沖縄販売 
     (担当/堀田勇希)

家づくりは施主と作り手の共同作業。
建築会社のサポートを得て、大好きなカフェの雰囲気を具現化したKさん宅では、明るさとくつろぎに満ちた親子3人の暮らしが営まれています。

 

週刊かふう2023年9月29日号に掲載された内容です。

カフェテイストに空間をコーディネートした日常が楽しくなる家

憧れのイメージを建築会社と正確に共有

 ファサードを彩る天然石調のヒンプンや袖壁が非日常感を演出し、視界の一端にのぞくウッディな軒天に温かみを感じる、2階建てのRC造住宅です。
 キーワードは「カフェ」。ズンと突き出たマットブラックな庇に看板をつるしたら、たちまちオシャレなお店に変身しそう。玄関前に笑顔の行列ができ、2階バルコニーにパラソルが並んでいるような楽しげな光景が、まざまざと浮かんできます。

「1度きりの家づくりを絶対に成功させるために。多くの人から愛されているカフェのあの雰囲気を目標にすれば、うまく言い表せない頭の中のイメージを正確に共有できると思ったんです」と奥さま。家の中に入ればくつろぎ感は一段と濃度を増し、ガラス窓を介して軒天が連続しているかのように、木目調の天井と床に囲まれた空間が広がっています。

 新居が完成したのは今年3月。「子どもが小さいうちにマイホームを」と結婚直後から温めてきたKさんの思いを見事に形にできたのは、以心伝心で応えてくれる建築・設計のパートナーがあってこそ。依頼した建築会社とは土地を購入した直後に出会い、「初対面の時から話が弾み、毎回打ち合わせをするのが楽しみで仕方なかった」と懐かしむほどフィーリングがぴったり。また「間取りやデザインを変更するたびにCGパースを作成してくれたことも、家全体の立体的な印象をつかむのに役立ちました」と振り返ります。

 土地の広さは約52坪。将来的な子どもの成長や家族構成の変化を考慮して、計画当初からゆとりをもって2階建てで検討を進めました。その中で「毎日の身の回りのことがワンフロアで完結するように」とLDKのある1階に、すべての水回りやファミリークローゼットなど基本的な生活機能を集約。2階にはプライベートな個室と書庫だけを並べて、上下階でオンとオフを切り分けました。

カフェテイストに空間をコーディネートした日常が楽しくなる家

意匠を凝らしたLDKと効率的な家事動線

 インテリアを構成する色彩は、白・黒・グレー・ウッディブラウンの4系統。最も”カフェらしさ”を表現したLDKは「20帖以上の広さがほしい」との要望がかない、間仕切りのないワンルーム的な空間が敷地の長辺方向に続いています。セラミックトップを施したフルオープンの対面キッチンや、真っすぐに延びる天井のラインが全体を引き締め、落ち着きのあるインダストリアルな印象を演出。キッチン前の壁際にはスタディースペースが設けられ、2階で自室の机に向かうより、子どもの勉強もはかどりそうです。

 リビングの隣の突き出た位置に畳間を置いたのは、「椅子でくつろぐだけではなく、たまには床にごろんとしたいから」というご主人のリクエスト。窓の外にはテラスを望み、屋外との緩やかなつながりも感じられます。また水回りはキッチンの奥にあり、浴室・洗濯脱衣室・洗面・ウオークスルークローゼットが1列に並んでいます。「洗濯物を運んで畳む必要がなく、隣のスペースのハンガーに掛けるだけ。家事の負担が減って大助かりです」と奥さまは満足しきりです。
 一方で2階は”らしさ”をほどほどに抑え、主寝室、子ども室は親子それぞれに好みのクロスで仕上げました。それでも廊下を一面ガラス張りにしたことで、開放感は抜群。遠く眼下には海まで眺められます。

「新居のデザインはもちろん私たちの要望がベースになっていますが、玄関前のヒンプンや、室内外でテイストをそろえた天井と庇の木目など、私たちのこだわったところや提案いただいたものが調和して、いま改めて見ると本当にカッコイイ。納得のマイホームを建てることができたとしみじみ感じています」。
 多くの人が求めてやまないカフェのような心地よさを自宅で味わえたら、言うことはありません。

写真ギャラリー

カフェテイストに空間をコーディネートした日常が楽しくなる家

構造的・空間的な制約を巧みに生かし、笑顔を育む想像以上の提案を

構造壁の外側にガラス張りの空間をつくり、開放感を高める
無駄を徹底して省き、階段下などの限られたスペースを有効活用

一級建築士:宮里歩さん(左)、営業:金城柚穂さん

 柱となる「カフェ」というテーマが計画当初から定まっており、イメージの共有は完璧。まずはKさんが抱く新居の姿を形にするために、敷地条件に照らして十分な器=空間を用意する必要がありました。
 計画地は西側道路に面した住宅街にあり、東西にやや細長く、広さは約52坪。建ぺい率、北側斜線制限といった法規制に加え、予算や駐車スペースなどの要素も考慮すると、要望の一つである「20畳以上のLDK」の確保が大きな課題になりました。

 完成した形だけ見れば、LDK自体はシンプルな長方形ですが、どうすれば最も広々と使えるか、スムーズに動けるかを一緒に検討しながら、リビングやキッチン、スタディースペースの位置を決めていきました。さらには実際の面積以上の広がりが感じられるように、南側テラスに面したリビングと和室に、天井高いっぱいの掃き出し窓を設置。テラスの軒天には、室内の天井材と同系色の木目調で化粧を施し、家の中と外が緩やかにつながるような視覚効果を狙いました。

 使える全体の容積が決まっている以上、LDKに十分な広さを割けば今度は逆に、水回りの納め方に配慮しなければなりません。例えば階段下を活用した1階トイレは、階段の段数や踏み面を何度も調整し、バランスよく内部の窮屈さを解消。また家の東端にあたるキッチン奥には、浴室や洗濯脱衣室から連なるウオークスルークローゼットを横並びに配置しました。衣類収納は当初は半分のサイズを予定していましたが、完成見学会での事例を見て気に入っていただき倍増となりました。

 2階にも構造を生かしたポイントがあります。Kさん宅は柱や梁の代わりに耐力壁で建物の荷重を支える壁式構造で、廊下の壁の真下にあたるLDKに大きな壁が必要でしたが、コンクリートより軽いガラスとすることで、LDKの空間確保と廊下の開放感を同時に生み出す設計としています。


設計・施工会社

宜野湾市赤道1-5-1

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