長く住まうことを見据えてワンフロアに集約した住機能
- DATA
- 所在地：那覇市
- 設計：リード・アーキテクト株式会社（担当／上羽）
- 敷地面積：173.83㎡（約52.58坪）
- 建築面積：86.12㎡（約26.05坪）
- 延床面積：84.88㎡（約25.67坪）
- 用途地域：第一種低層住居専用地域
- 構造： 木造
- 完成時期：2021年1月
- 建築：リード・アーキテクト株式会社（担当／小野）
- 電気：オガ電設（担当／緒方）
- 水道：カンコウ設備（担当／田中）
- キッチン：TOTO株式会社（担当／高野）
- 植栽：有限会社プラネットファーム（担当／友利）
安心に支えられた「０（ゼロ）宣言の家」を選び、現在と将来のライフステージに思いを馳せてプロヴァンススタイルの快適設計を描きました。
※週刊かふう2021年7月16号に掲載された内容です。
最適な立地条件と健康的な住まい
入籍以前から理想のマイホームについて話し合っていたというＭさん夫妻は、ともに鼻炎アレルギーがあり医師の勧めもあって木造の戸建てに的を絞り準備を進めたそうです。ロケーションは仕事上の移動の多さを考えて、幹線や沖縄自動車道のインターチェンジにほど近く、沖縄都市モノレールの駅も近いなど、交通網の充実を基準に探したといいます。
「条件が多くて土地探しが大変でしたが、運良く私たちの望みにかなう場所が見つかり、高品質な木造住宅の『０（ゼロ）宣言の家』を建てることにしました」と振り返ります。
チラシでリード・アーキテクト株式会社の「０宣言の家」を知り、その後は自分でも調べ尽くして知識を深めたのち、健康への配慮や天然素材に着目した家づくりに共感して完成見学会へ。
「構造や素材、仕上げ、遮熱などに工夫が凝らされて節電効果があり、比較的メンテナンスコストがかからない点も気に入りました」
デザインと機能で長く住まう家を整える
高齢者の住まいについて詳しい奥さまは「間取りが難しいかと心配もしましたが、年齢を重ねても暮らしやすいよう平屋とバリアフリーを希望しました」と設計への注文を話します。リード・アーキテクトの小野章子さんは「大丈夫ですよ」とＭさんたちの方向性を受け止めて、プロジェクトを進めました。
サーモンピンクの外壁、切妻屋根に赤茶色の丸瓦など、わが家に望むパーツを挙げていった奥さま。小野さんは「それらを全体像としてまとめると南仏のプロヴァンススタイルですね」と具体的なイメージで示したそうです。奥さまは漆喰の塗り方を調べて、壁ごとに異なるパターンで塗り分けてもらい、空間に表情の変化をつけました。ドアは開閉に労力やスペースを多く必要としない吊り式引き戸を選び、運動機能が低下しても暮らしやすいよう考えました。また、ホコリが溜まりにくいうれしい特長もあります。
Ｍさんの方は「帰宅後にリビングを通らずに玄関から風呂や手洗いに行ける動線を」と間取りを重視しました。
趣味のための部屋と収納力抜群のロフト
Ｍさんには、どうしても確保したいスペースがありました。それは、10年前から続けている鑑賞用エビの品種改良にいそしむ飼育部屋です。
「今は水槽16個ですが、30個まで増やしたいんです。水道も引いたし、水槽の水質を維持するモーター用コンセントは感電防止のために高い位置に設置しました」と目を輝かせながら話が尽きないＭさん。エビにとっての快適環境を整えるためクーラーもこの部屋に設置しています。
その隣りの主寝室は「交換条件で私の専用部屋にしました」と笑う奥さまは、テレビが大好きとのことでメイクしながら視聴できるよう仕上げてもらいました。湿気対策のためオープンタイプにしたクローゼットも、衣服の数が多い奥さま専用へ。壁が漆喰仕上げなので、衣服の臭いがこもらないのもお気に入りだそうです。
目からウロコが落ちる思いをした斬新なアイデアが、天井裏にエビ部屋からメイクルームへ通じるダクトを設けて、空気を送風する仕組み。「十分に涼しいですよ」と奥さまが話すように、クーラー１台で２室の空調をかなえる節電の工夫が凝らされています。
切妻屋根にしたリビングの天井高５メートル弱を生かして収納スペースの大型ロフトを設けていますが、ここへもシーリングファンを使ってリビングで空調している涼しい風を送ることができます。
「ハイハイをするようになった子どもが、ここに越してきてからさらに活動的になっています」と驚くＭさん。引っ越す前までは毎日飲んでいた鼻炎アレルギーの薬を「体調によっては飲まなくても飲んでよい」と通院先の医者にいわれたというご夫妻の変化も、「０宣言の家」の効果を証す一例だと実感しているとのこと。
早い時期から理想像を明確にしてきたＭさんご夫妻の求める健康と暮らしが、「０宣言の家」で実現した好例でした。
