さらり、すっきり、気持ちいい。 健やか家事ラク、笑顔増える家
- DATA
- 設 計: T home一級建築設計事務所
(担当/棚原彰悟) - 敷地面積: 275.98㎡(約83.5坪)
- 建築面積: 107.55㎡(約32.53坪)
- 延床面積: 105.16㎡(約38.81坪)
- 用途地域: 未指定
- 構 造: 木造
- 完成時期: 2023年4月
- 建 築: T home 株式会社
(担当/棚原彰悟) - 電 気: 吉電設(担当/吉平剛)
- 水 道: 宮本工務店(担当/宮本豪)
- キッチン: クリナップ株式会社
(担当/池宮城歌穂)
週刊かふう2023年8月4日号に掲載された内容です。
目にも肌にも心地いい空間。家族、親族をつなぐリビング
色濃い緑が茂る、北中城村の閑静な住宅地。近くの水脈にはホタルも棲むという自然風景に溶け込みつつ、新時代の住まいを思わせるモダンな木造平屋。広々とした駐車スペースからアプローチ階段を介して邸内へ。すっきりとした涼やかさとほのかな木の香り。Hさんの家の要となる快適な空気心地は玄関から始まり、家中を涼しく包み込んでいました。
玄関ホールの正面はLDKの入り口で、左側はウォークスルーのシューズクローク。すっきりとした玄関を通り、リビングの扉を開けると、壁から天井まで白一色の清潔感あふれる空間が現れ、天井は見上げるほど高く、高窓からは陽光が降り注いでいます。
リビングの一角にはソファと並ぶように畳間の小上がりが設けられ、“集いの場”を思わせるほっこりとした雰囲気。中高生の3人のお子さんも、「ひとりはソファに、ひとりは小上がり、もうひとりはデスクカウンターに向かって」と、思い思いに過ごすようで、キッチンはその光景をひと目で見渡せる位置にレイアウト。
「仕事から帰って急いで夕食の支度をしながらも、子どもたちと言葉を交わし、わいわいと過ごすひと時に幸せを感じます」と笑みを見せるHさん。マイホームの夢をかなえた喜びが温かく伝わってきます。
機能的な間取りとすっきり&清潔感
間取りのポイントは、家事に便利な回遊動線と「整い」の維持に活躍する容量豊富な収納プラン。
キッチンの裏側には大型のパントリーがあり、物の出し入れもスムーズ。また、洗濯室は屋根付きの外干しスペースと、ファミリークローゼットの両方に扉1つで連結。隣接したファミリークローゼットも十分な広さが確保され、収納のしやすさがうかがえます。
さらに玄関に設えたシューズクロークはウォークスルータイプでゆとりもあり、目にもクリーンな印象です。そう、『すっきり&清潔感』は、Hさん宅を語るのに不可欠なキーワード。中でも洗面・洗濯室は白が際立ち、高窓から差し込む光がまばゆく、気持ちのいいクリアな空間に。また、キッチンの背面には吊り戸棚を設けず、カウンター収納のみで構成し、洗練度をアップ。「リビングから見た時のすっきり感も実現できました」と嬉しそうに話します。
子ども室はリビング側に並んで配置され、「基本的に寝るための部屋」設定。勉強はリビングやデスクカンターで行います。
湿度へのこだわりが一致「家族と家の健康を守りたい」
さて、この日は最高気温33度の猛暑日。にもかかわらず、収納空間を含むどこにいても涼しさを感じる家。聞くとエアコンはリビングに取り付けた1台のみで、設定温度は28度で稼働。「建物の断熱性能や気密性も良いですが、除湿機能のある換気扇のおかげかです」とHさんが種を明かし、話題は家づくりの核へと及んでいきました。
以前は、近くにある実家で親御さんと一緒に住んでいたHさんファミリー。「いつかは自分たちの家を」と夢を暖める中、たまたま近所で売り出された土地を入手。家づくりはその数年後に始動し、設計・建築を手掛けたのはHさんのいとこで一級建築士の棚原彰悟さん。理想的な家について思いを話し合ううちに、快適で健康的な住環境は「湿度のコントロールがキモ」と、意見が一致。棚原さんはこれまでの経験と知見を駆使し、木造+断熱+湿度調整機能がついた換気扇の組み合わせで、住まい全体が常に適度な湿度・温度に保たれる高性能な家づくりを提案しました。その上で間取りやデザインを詰めていったそうです。
「完成して間もなく梅雨を迎えたのですが、家の中の空気がサラサラして気持ちよかったです」とHさん。加えて「エアコンの設定温度を高めにした省エネ運転でも快適ですし、湿度が適切だと衛生面、健康面でも安心です」とにっこり。澄んだ空気が家族と家を守っています。
住み始めて約4カ月、心境をたずねると「建てて本当に良かったです。設計中は、保管していた子どもたちが描いた間取り図を取り出して、みんなで思い出をたどったり」と、ほほ笑ましいエピソードも話してくれました。爽やかでクリーンな住まいは、家族の絆とにぎやかな団らんが目に浮かぶ、温もりの気配が心地いい家でもありました。
写真ギャラリー
除湿できる家で、住まいも家族も末長く健やかに。
高温・高湿の沖縄に適した家を、完全自由設計で実現
除湿する換気システムを取り入れ、住まい全体にきれいな空気を行き渡らせる。
同時に、節電にもなる「全館空調」も実現
T home(株)代表取締役・一級建築士 :棚原彰悟さん
介護職にたずさわる施主のHさんは、湿度が身体に与えるさまざまな影響について詳しく、健康的な暮らしや環境づくりのためにも、湿度コントロールを最優先したいと考えていました。私もまったく同感で、長持ちする家づくりという点からも熱気と湿気対策を重要視していたため、まずは家の根本となる性能ー「除湿できる家」を考案しました。
躯体を木造に定め、屋根と外壁に断熱材を施し、住宅全体を覆うことで気密性を高めます。そこで適切な換気計画が不可欠となりますが、今回のケースでは除湿して温度も下げるという、外気処理換気システムを採用。屋外から取りこむ湿気を含んだ空気を熱交換の働きで除湿・温度調整し、サラリとした空気を給気します。自動的かつ的確に調湿するので1年を通して適切な湿度が保たれ、また、エアコンのない空間─例えば収納スペースなども含めて、家中を快適な空気で満たすことを可能にします。
その上でエアコンを使用して好みの室温に調節しますが、Hさんのお話にもあったように、猛暑日でもエアコン1台・28度設定で、家の中のどこにいても涼しいという、空調にかかる節電も実現します。冬季には風邪などの要因となる過乾燥の防止も期待できるので、今後もHさん宅での湿度計測を続け、実証につないでいきたいと考えています。
断熱に関しては複層ガラスと樹脂サッシの採用もポイントで、窓からの熱や冷気を防ぎ、ひいては省エネへとつながります。2025年以降はすべての建物に省エネ基準の適合義務が求められるようになるので、今回のケースは次代を見据えた家づくりの好例ともいえます。
間取りに関しては、Hさんが要望する収納の充実と家事のしやすさを軸にして展開。特に移動が多い洗濯は、洗う・干す・取り込むまでの行動を極力短い動線で完結。干し場は、インナーテラスのような半屋外空間を設け、急な雨でも外干しできるよう設計しました。通風と目隠しを兼ね備えたフェンスは、位置的に外観正面にあたるので美観も考慮し、デザインの一部になるようスマートな施工を意識しました。
Hさんは私のいとこにあたり普段から懇意にしてはいましたが、家づくりを通して改めて、家事に便利な動線は負担を減らすだけでなく、時間や気持ちにもゆとりを生み、本当の意味で快適な暮らしへとつながることを実感しました。
当社は代表自らが設計・デザインまで手掛ける注文住宅をご提案し、熟練の大工職人のいる設計事務所として、施工まで丁寧に寄り添うことを強みとしています。沖縄の自然環境に合っていること、意匠を大切にすること、そして末長く快適に暮らせる性能設計をベースとし、お客さまの理想をより豊かにかなえていきます。今後の家づくりでは欠かせない省エネ性能のプランも得意としており、ZEH(ゼッチ)住宅の設計・施工もお任せいただけます。ぜひ弊社のHPをご覧いただき、「これからの沖縄の家づくり」に対する思いに少しでも触れていただけたら幸いです。
設計・施工会社
T home 株式会社
TEL:080-3957-7974 | https://at-thome.jp