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琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 骨壷の中に納め忘れた入れ歯

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 骨壷の中に納め忘れた入れ歯

週刊かふう2024年2月9日号に掲載された内容です。

 

骨壷の中に納め忘れた入れ歯

Q:
母の納骨のとき、入れ歯を骨壷の中に入れるのを忘れました。きっと、グソーでは大好きだったステーキが食べられないはず(涙)。今から入れ歯を骨壷に入れてもいいですか?(八重瀬町・Gさん・40代)

A:
Gさん、それは、ご心配ですよね。沖縄では、故人さまのご遺徳を偲び、グソーでも不自由がないよう、生前に愛用されていた品々を骨壷の中に納めるケースがあります。例えば、眼鏡・時計・指輪など。もちろん、入れ歯も必需品ですので、納め忘れたとき、どのような解決方法があるのか、一緒に考えていきましょう。

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A 骨壷の中に納め忘れた入れ歯

イラスト/帰依剛龍

納骨の種類

 ひと口に納骨といいましても、今の時代、いろいろな種類があります。お墓への納骨、ご寺院さまなどの納骨堂への納骨、自宅への還骨(かんこつ:一時的な納骨)……。
 ご寺院さまなどの納骨堂への納骨であれば、事情を説明し、故人さまの骨壷の中へ忘れ物を納めることができる可能性があるかと思います。問題は、その納骨が、永代預かり(永代供養)のときです。納骨の契約内容によっては、合葬(がっそう〈合祀:ごうし〉)という、故人さまのご遺骨をお一人(個別)だけで納骨せず、他の方々と一緒(合同)に納骨されることがあります。また、ご遺骨のみを納骨する条件があるとき、故人さまにとって、愛用されていた品々であっても、納めることができないことがあります。念のため、契約内容の詳細をご確認いただければと思います。
 ご自宅への還骨でしたら、故人さまへの敬いの象徴である奇数のナンカに忘れ物を納めてあげるのも、一つの考え方かと思います。奇数のナンカ(七日)にあたる、1のハチナンカ(初七日)・3のミナンカ(三七日)・5のグナンカヌサンジュウグニチ(五七日の三十五日)・7のシンジュウクニチ(四十九日・満中陰〈まんちゅういん〉)を選択されることがあるようです。
 一方、お墓への納骨を行われている場合、もう一度、お墓を開けることになりますので、ここは賛否があり、先人の方々のジンブン(知恵)をお尋ねさせていただきたいところです。

お墓の開門・閉門

 沖縄では、お墓へお参りするのはウシーミー(清明祭)・ジュウルクニチ(十六日祭)・旧暦七夕だけとのご意見を耳にすることがあります。お墓にお参りされるこれらのいずれかでお墓の開門・閉門を行い、骨壷の中に忘れ物を収めることができるという考え方があります。
 例えば、ウシーミー・ジュウルクニチでは、詫びスーコー(お詫びしつつ、焼香すること)を行いながら、本来、お葬式の後の納骨のように、お墓のヒラチ(平蓋:お墓の中へ入る入り口の蓋)を開けるタイミングではないことをお詫び申し上げれば、お墓を開けることができ、故人さまの骨壷の中に忘れ物を納めるウトゥーシ(ご報告)を行うことができるとされています。
 旧暦七夕は、『七夕は日なし』の格言から、お墓の外のお掃除を兼ねつつ、お墓の中もお掃除することができるとの考え方があります。この場合、『七夕は日なし』ですので、詫びスーコーを行う必要はなく、お掃除をする建前のもと、骨壷のふたを開け、忘れ物を納めてあげればよいという考え方につながります。それ以外では、ユンヂチ(閏月:うるうづき)も旧暦七夕と同じ考え方になりますので、参考にしていただければと思います

お仏壇は現住所、お墓は本籍地

 しかし、沖縄では、次の人が亡くなるまではお墓を開けられないとの考え方もあります。このようなとき、『お仏壇は現住所、お墓は本籍地』という、故人さまから見て、お仏壇もお墓も同じように大切な場所という考え方があります。これは、お墓の骨壷の中に忘れ物を納めるのも、お仏壇のトートーメーの近くにその忘れ物を置いておくことも、故人さまにとっては、同じように忘れ物をお届けさせていただくことになるという考え方です。
 今すぐ、お墓を開けることができないとき、まずは取り急ぎ、お母さんの入れ歯をきれいな布などで包み、できればサン(真茅などのススキを3本結んだ祭具)をつけてあげ、お仏壇に一時的に保管されておくのも一つの解決方法かと思います。
 Gさんのお母さん、グソーで美味しいステーキが食べられるといいですね。

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