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琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A

週刊かふう2020年8月14日号に掲載された内容です。

琉球・沖縄年中行事 なんでもQ&A

親より先に亡くなる子どもは親不孝者?

Q:生まれてすぐの男の子を亡くしました。旦那は優しい人で、名前をつけて、私たちが受け継いだトートーメーに入れてあげようといってくれます。ところが、姉たちは「沖縄の祖先崇拝は、親より先に亡くなった子どもは親不孝者だから、トートーメーに入れることは許さない」と言い張ります。姉たちも同じように子どもを亡くしており、トートーメーどころか、火葬した骨さえ処分してもらったといいます。人間として、とても悲しい気持ちになります。旧暦七夕も近いので、トートーメーに入れてあげたくて、姉たちが納得する方法がありましたら、亡くなった男の子のために教えてください(名護市・Kさん・30代・女性)

A:Kさん、沖縄のしきたりは、地域性・家庭性といわれるオリジナルに富み、先立たれたお子様に対しての考え方もいろいろあります。

《幼少(ユースー)とは》
 東アジア圏では、ある年齢以下の亡くなられたお子様を「幼少(ユースー)」と呼ぶ地域があります。沖縄では、この幼少とする年齢の基準を、満2(数え3)歳以下とする説から、満23(数え24)歳以下とする説までさまざまあります。
 満23(数え24)歳はもう大人だと思うのですが、実際にこの基準で幼少を判断されている地域・家庭も、私の経験上、存在しています。Kさんのお住まいの地域では、満6(数え7)歳以下、または満11(数え12)歳以下を幼少とすることが多いと思います。

《幼少をトートーメーに入れない理由》
 沖縄のトートーメーは、故人様のご供養の象徴です。また、同時にチーシジ(男性方の血筋)・ヤーシジ(男性方の家系筋)の家系図を表しています。家系図については賛否両論ありますが、現実として成人男性を中心とする崇拝思想が残っているとの専門家のご意見もあります。つまり、成人男性から見て、妻や子どもの位置という家族構成を表現しているともいえるのです。
 とある宗教的思想には、「老いては子に従え」とか「親に背負われた子は、親を背負い返し孝養を尽くす」など、子は親より長生きして、親へ育てていただいたご恩を返すということを勧めている考え方などもあります。
 このような考え方を良しとされていれば、お姉さんたちがおっしゃる「親より先に亡くなった子どもは親不孝者だから」という、幼少をトートーメーに入れないご意見になるのも然りかと思います。

《幼少をトートーメーに入れる理由》
 一方、命という観点からは、「100歳の長命も尊く、当歳(0歳)の短命も同じく尊い」という、その尊厳に甲乙をつけないことが肝要かと思います。
 スイジュンという首里のトートーメーを拝見する機会が多々あります。すべてがそうではありませんが、そこには単に年齢・性別にとらわれることなく、その家庭の家系図であろう故人様全員の法名(戒名)・俗名(氏名)・命日・行年(享年)などが記されていることがあります。幼少のお子様を親不孝者とは見なさず、一人の人間の尊い命としてご供養されてきた歴史があったのでしょう。この後者の考え方の中に、Kさんのご質問への回答があると思います。

《トートーメーの裏札の利用》
 沖縄のトートーメーは表裏の2枚札になっています。多種ある記載方法の中、表札は成人を記載し、裏札は幼少を記載するという考え方があります。Kさんへのご回答として、お姉さんたちのご意見に敬意を払いつつ、生まれてすぐお亡くなりになられたお子様は、然るべき場所である裏札に記載されてはいかがでしょうか。
 これは、沖縄のしきたりの伝統的な是正方法であり、そのお子様を無縁仏にしないよう、親であるKさんご夫妻がお子様にしてあげられる一番のご供養かと思います。旧暦七夕にこだわらず、今年はユンヂチでもありますので、十分間に合うかと思いますのでご安心ください。
 Kさん、「親より先に亡くなった子どもは親不孝者だから」とか「親より先に亡くなった子どもは、寂しいあまり親をグソーに連れていく」というご意見を耳にされることがあるかもしれません。でも、沖縄では本心からそう思っている方は一人もいないと思います。その言葉の裏には、「気を落とさず」というKさんに対する思いやりの気持ちがあるのではないでしょうか。
 命の大切さ、尊さを教えてくれるお子様を敬い申し上げ、Kさんご夫妻も命の大切さ、尊さを心に、これからもご精進いただければ、先立たれたお子様のご供養になるのではないかと思います。

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