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基礎からわかる相続Q&A File.14 遺言書の検索と相続登記の必要性

基礎からわかる相続Q&A File.14 遺言書の検索と相続登記の必要性

週刊かふう2022年12月16日号に掲載された内容です。

 

 

Q. 先日、母が亡くなったのですが、母がどこに遺言書を預けたのかわかりません。母の遺言書をどのように探せば良いのでしょうか。

 私の母は、父が亡くなってから長い間、実家で独り生活していました。私たち家族は、母の他に私と兄がいますが、兄は私が学生時代に事業に失敗してから、私たちと別居し全く連絡をとっていません。
 母は、心臓が強くなく長らく通院しており、私がひんぱんに付き添っていました。体の具合がよくなかったこともあってか、ここ数年は自分が亡くなった後に兄が出てきて私ともめることになるのではないかと心配していました。

 そんな母が、最近は自分が亡くなった後の話をしなくなったので、それとなく尋ねると、私に実家を相続させる内容の遺言書を作って預けてあるという話をしていました。
 先日、母が亡くなったのですが、母がどこに遺言書を預けたのかわかりません。母の遺言書をどのように探せば良いのでしょうか。 また、私としては実家をしばらく母の名義としていてもいいかなと思っているのですが、何か不都合はあるのでしょうか。

A.遺言書が見つからない場合にどのように探せばよいのかを見ていきましょう。また、遺言書に基づき不動産を登記することがありますが、登記をしない場合にどのようなリスクがあるのか知っておく必要があります。

 お母さまが遺言書を預ける場所としては、公正証書遺言を作成して預ける公証役場と自筆証書遺言を作成した場合の法務局の二つがあります。
 遺言をどこに預けたのかわからないという場合は、公正証書遺言なら公証役場の遺言検索システムにより、最寄りの公証役場から検索することができます。自筆証書遺言を法務局に預けているかどうかについては、最寄りの法務局(遺言保管所)に対し、遺言書保管事実証明書の交付請求を行うことで、法務局で遺言を保管しているかどうかを確認することができます。それらを利用して、お母さまの遺言を探すことになります。

 そして、遺言が見つかったら、なるべく早く相談者が実家を相続した旨の登記をして、相談者の名義に移しましょう。相談者の法定相続分は2分の1なので、お母さまの話から察すると、遺言により実家について法定相続分を超える分が相談者のものになっています。しかし、法定相続分を超える分を遺言で取得した場合には、そのことを登記しないと「第三者に対抗できない」ということになっています。
「第三者に対抗できない」というのは、例えばお兄さんが自分の法定相続分である実家の2分の1の共有持分部分を誰かに売ってしまうと、あなたはお兄さんの法定相続分である2分の1については、所有権を取得できなくなってしまうという意味です。あるいは、お兄さんに未払いの借金があったり、税金の滞納があったりした場合には、お兄さんの持分が差し押さえられることもあるということになります。

 このような不都合が考えられるので、なるべく早く、きちんと登記をしておくことをお勧めします。 なお、令和6年4月1日からは3年の猶予期間がありますが、不動産を取得した相続人はその取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられます。

基礎からわかる相続Q&A File.14 遺言書の検索と相続登記の必要性

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