新着 不動産相続Q&A File.16 相続登記の義務化に向けたマスタープランの公表
週刊かふう2023年6月23日号に掲載された内容です。
相続登記の義務化に向けたマスタープランの公表
令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。今回は「相続登記の義務化に向けたマスタープラン(基本計画)の公表」について、区長と青年会会長のおしゃべりで解説します。
【青年会会長(以下、青年会)】令和5年3月22日に法務省が発表した「相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン」を読んだんですが、さすがに義務化まで待ったなしといった感じですね。
【区長】所有者不明土地の問題を予防するために、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されるんだったね。
【青年会】新制度の影響が広範囲に及ぶので、法務省が環境整備策や運用上の取扱いを明確にすることで、国民に新制度の理解と対応を促すためのマスタープランだそうです。
【区長】それは良い取り組みだね。具体的な内容はどうなってるの?
【青年会】新制度の概要として、相続登記の申請義務化に関するポイントがまとめられています。相続により不動産を取得した相続人は、相続の開始と不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければいけません。
【区長】なるほど。そして、令和6年4月1日より前に相続が始まっている場合は、施行後3年間の猶予期間が設けられているから、令和9年3月31日までに申請すればよいことになるね。
【青年会】簡易な方法として、相続人申告登記制度も新設されます。相続人申告登記を行うことで、相続登記の申請義務を履行したものとみなされるんです。
【区長】ただ、申告登記はあくまで簡略的なものだから、その後、遺産分割の結果にしたがって相続登記をしなくてはいけないね。
【青年会】相続人申告登記については、相続人本人での申し出が可能となるように配慮される予定です。必要となる戸籍関係の添付も限定され、書面だけでなくオンライン(ウェブ上)で申し出ができるようにしていくとのことです。
【区長】義務を履行しやすくするための環境整備が進められているんだね。
【青年会】一方で、正当な理由なく申請を怠った場合には10万円以下の過料が課せられることもあります。
【区長】過料が課せられる流れはどうなっているのかな?
【青年会】このマスタープランでは、登記官が申請義務違反の事実を把握しても直ちに過料通知は行わず、あらかじめ申請義務を負う者に催告を実施する方針が示されています。催告に応じて相続登記を申請すれば、過料通知は行われないとのことです。また、「正当な理由」が認められる場合としては、相続人が極めて多数に上る場合、遺言の有効性が争われる場合、重病等である場合、DV被害者である場合、経済的に困窮している場合などが想定されています。
【区長】登記官には、申請義務者の具体的事情を丁寧に確認して判断することが求められそうだな。
【青年会】ところで今日の私たちの会話、いつもとは違う雰囲気がしませんか?
【区長】たしかに要領が上手くまとまっている感じがするね。
【青年会】最近、チャットGPT(ジー・ピー・ティー)という人工知能(AI)が話題ですよね⁉
【区長】もしかして……
【青年会】私も区長もAIによって創り出された架空の人物かも……
【区長】それって、僕も君も(区長と会長)要らないということか?
<法務省HP「相続登記の申請義務化の施行に向けたマスタープラン」より引用>
司法書士 幸良 和也(こうら かずや)
令和2年度司法書士試験合格
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