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新着 不動産相続Q&A File.24 「戸籍の広域交付」について

新着 不動産相続Q&A File.24 「戸籍の広域交付」について

<法務省HP(戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行))から抜粋>

 

週刊かふう2024年2月23日号に掲載された内容です。

 

 

「戸籍の広域交付」について

令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。今回は「戸籍の広域交付」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します。



【青年会会長】(以下、青年会)来月(3月1日)から戸籍が全国どこでも取得できるようになると聞きましたが、本当ですか?

【区長】 ゆくし(うそ)ではない本当だよ。最寄りの市町村で全国どこの戸籍謄本でも取得できるようになるのだ。つまり、ほしい戸籍の本籍地が全国各地にあっても1カ所の市町村の窓口にまとめて請求できるのだ。

【青年会】すごく便利な制度が始まりますね。友人が祖父の相続登記で戸籍を取得するのにとても苦労したと言っていました。友人の祖父は離島の出身で戦後に本土へ集団就職して現地で婚姻、定年後は出身の島に戻り人生を終えたようです。本籍が離島、本土と転々として戸籍集めに時間を要したと言っていました。

【区長】 それは大変だったと思う。婚姻や離婚に伴い本籍地を転々としている相続手続きは戸籍集めに苦労する。

【青年会】ところで相続手続きにおいて死亡時の戸籍以外も必要になるのですか? 死亡時の戸籍を取得し、この方が亡くなっていると証明できれば良いのではないでしょうか。

【区長】 ここで戸籍についてのミニ解説をしよう。確かに死亡した方の直近の戸籍を取得すれば相続の発生は証明できる。しかし、その戸籍のみではその方の相続人は証明できない。戸籍は婚姻や転籍やコンピューター化に伴う戸籍の改製等によって作成されるが、原則としてこの戸籍の作成された期間中の情報しか記載されないことになっている。過去の情報(出生、養子縁組、認知等の子ども有無)は従前(当時)の戸籍を集めて確認する必要がある。例えば、結婚をして除籍した子は新しい戸籍に転記されない。相続手続きで被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、改製原戸籍が必要となる理由だ。

【青年会】 よくわかりました。話を戻しますが、相続手続きにおいて戸籍の広域交付は画期的でとても便利な制度ですね。詳しく制度の説明をしてもらえませんか。

【区長】 本籍地以外の市町村の窓口でも戸籍謄本や除籍謄本が取得できる制度で、広域交付で取得できる戸籍謄本や除籍謄本は、本人、配偶者、父母や祖父母(直系尊属)子や孫(直系卑属)のもので、請求は取得する方が市町村の戸籍担当窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできない。兄弟姉妹や叔父叔母の戸籍取得はできず、司法書士や弁護士等の職務上で請求できる士業についても利用できないことになっている。

【青年会】 必ず請求する方が市町村の窓口に行く必要があるのですね。他に注意する点はありませんか。

【区長】窓口に来る方の本人確認のため、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等顔写真付きの身分証明書の提示が必要となる。また、戸籍抄本等の一部の証明書は取得できず、謄本等の全部事項証明書のみが対象になる。それからコンピューター化されていない除籍や改製原戸籍は取得できない。よって、それらの広域交付で取得できない除籍や改製原戸籍についてはこれまで通り郵送や代理人による取得を利用することになる。

【青年会】 一部取得できない除籍や改製原戸籍がありますが、最寄りの市町村窓口で「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、改製原戸籍をすべてください」と言えば、役所の方がすべて(交付)集めてくれるのですね。4月1日から相続登記が義務化になりますが、タイムリーな制度が開始されますね。

【区長】 相続手続きで戸籍集めはハードルが高かった。この制度開始で相続人調査が容易になり相続登記手続きが進めやすくなる。繰り返し言います。相続手続きで戸籍を取得する際には最寄りの(本籍地が近ければ本籍地)市町村役場窓口で「被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、改製原戸籍をすべてください」と言ってください。

新着 不動産相続Q&A File.24 「戸籍の広域交付」について

司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

平成7年度司法書士試験合格
司法書士法人きゃん事務所 〒901-1304 与那原町字東浜23番地2
Tel:098-882-8177 Fax:098-882-8178

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