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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

斬新さが町に融和する 光と時間が巡る家

斬新さが町に融和する 光と時間が巡る家

DATA
所在地:沖縄市
設計:有限会社門一級建築士事務所(担当/金城豊・崎浜剛)
敷地面積:309.00㎡(約93.47坪)
建築面積:106.92㎡(約32.34坪)
延床面積:92.71㎡(約28.04坪)
用途地域:第1種中高層住居専用地域
構造:RC造平屋建て
完成時期:2019年10月
建築:アイワ企画株式会社
電気:有限会社丸市電気工事社
水道:株式会社明正電設
キッチン:有限会社モブ

新旧の建物がひしめく住宅街にあって、レンガ造りの壁と多面的なフォルムがひときわ目を引くMさん宅。
レンガと木をコーディネートした室内には素朴な雰囲気と品格が漂い、日ごと時間ごとに光の移ろいも楽しめる、開放感あふれる平屋の住まいです。

※週刊かふう2021年5月21日号に掲載された内容です。

斬新さが町に融和する 光と時間が巡る家

風車状の間取りと多面的なフォルム

 目立つ家を建てたい。道行く人の目を引き興味をそそり、地域のシンボリックな存在となり、広く専門的にも評価されて建築賞を狙えるような家を。
 だから「メディアへの露出も大歓迎。新聞・雑誌などにどんどん取り上げてもらえるように」と意気込んで、2年前に単身で家づくりに着手した施主のMさん。そのためには力量のある建築家のサポートが必要で、依頼先を求めて情報収集を始めました。
 計画地は沖縄市の住宅街にある100坪弱の北西角地。Mさんは以前まで、ご両親と一緒に近隣の実家で暮らしていましたが、きょうだい家族が同居し二世帯住宅に建て替えることになったため、「自分は出たほうがいいだろう」と判断。将来のマイホーム用に寝かしていた土地を、いよいよ生かす時がやってきました。
 建築家との出会いは建築展でした。作風が気に入ったのはもちろんのこと、それ以上に「大切なのはフィーリング。実際にお話しをした感触から、ぜひお願いしたいと思ったので」。数日後には事務所を訪問して正式に打ち合わせを始め、瞬く間に計画を進めていきました。
 思い立ってから完成まで約1年半。現在の間取り・造形は、最初に提案を受けたプランそのものです。LDKを中心に各居室が風車状に並び、凹凸があって外からは多面的に見えるそのフォルムはとても斬新で、「目立つ家」という第一基準を一発でクリア。「まずはオーソドックスな箱形をベースにして、あれこれアレンジを加えてくると思っていたら、まったく予想外のアイデア。一目で気に入りました」。
 Mさんの眼鏡に狂いはありませんでした。

斬新さが町に融和する 光と時間が巡る家

内外装はレンガが主役。雰囲気が刻々と変化

 造形に負けず劣らず、意匠もまた個性的。内外装の主役には本レンガを抜てきし、室内ではLDKに面した3つの居室と水回りの壁面に使用しました。天井や床材、建具には木をあしらい、素朴さと品格が同居する居心地のいい空間に仕上がっています。
 LDKは天井が高く、至る所に開口部があって開放感があり、窓を開ければ風通しは良すぎるほど。さらに「光の移ろいがとても面白いんですよ。天気や日射の角度によって刻々とムードが変わるから、家の中で一日中過ごしても飽きることがありません。毎日が新鮮です」。
 生活の中心は、お気に入りのソファやテーブルを並べたリビングと、一枚板のカウンターが映えるオリジナルのキッチンです。水回りはキッチンのすぐ脇にまとまっているため、身支度や家事もスムーズ。無駄とストレスを省いた動線設計は、暮らしの満足度向上に無意識のうちに役立っています。

斬新さが町に融和する 光と時間が巡る家

 レンガの壁はガラス張りの窓を介して外部まで連続しており、視界に奥行きと広がりを与え、室内外の緩やかなつながりを演出。古今東西の文化が融合した周囲の町並みにもよくなじみ、Mさん宅の外観を特徴付ける重要な要素になっています。
「建築中も今になっても、”何のお店ですか”と聞かれることがしばしば」あるのは、当初の目的通り、人目を引くデザインに仕上がった証。またレンガなどの材料を題材に、「道行く人から声を掛けられ、立ち話することも多いですね」というように、コミュニケーションを育む場にもなっています。これからも地域のシンボル的な住宅として存在感を保ちながら、年月につれて風合いを増すレンガとともに、町の歴史を刻んでいくことでしょう。

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