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住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

こんな家に住みたい

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

DATA
設 計: studio jag 一級建築士事務所
     (担当/久志直輝・國定義弘)
敷地面積: 76.60㎡(約23.17坪)
建築面積: 53.41㎡(約16.16坪)
延床面積: 84.49㎡(約25.68坪)
用途地域: 第二種住居地域
構  造: 壁式鉄筋コンクリート造
完成時期: 2019年3月
施  工: 株式会社 比嘉組
     (担当/比嘉海二)
電  気: 松島電気工事 株式会社
     (担当/名嘉孝治)
水  道: 有限会社 ライフ工業
     (担当/我喜屋奨)
キッチン: クリナップ 株式会社

約23坪の敷地から発想された、階段ホールを主軸にした開放的な住まい。
家族と愛猫たちの伸びやかな暮らしが紡ぐ、心温まる日々。

 

週刊かふう2022年11月18日号に掲載された内容です。

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

逆転の発想が伸びやかさへ導く

 Nさんの実家があった場所は川沿いで、敷地の一部が“のり面”となる狭小地です。のり面とは、川の土手などに造られる人工的な斜面のことです。ここに自身のマイホームを建てることになったとき、建築の専門家であるNさんは考えたといいます。
「駐車場は2台分を確保したい。実際に活用できる敷地面積から考えると横方向の広がりが望めない1階部分はコンパクトに抑え、2階以上を川の上へ張り出すカタチで、必要な床面積を確保できるのではないか?」

 大学の同期であった一級建築士・久志直輝さんが代表を務めるスタジオ・ジャグへ相談したところ、5層のステップフロアが縦方向に伸びやかさを創造する個性的なプランを提案されました。Nさんは
「スキップフロアにすることで空間に抜け感ができます。天井を高く取っており、各層がどんどんリンクするように縦方向に伸びていく、そんな開放感が生まれました」
と喜んでいます。

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

子の成長を見越し、洗面所は二つに

 躯体の西側が交通量の多い道路に面したNさん邸。1階の西側に主寝室とウォークインクローゼットを配置しましたが、換気のための高窓を小さめに抑えてプライバシー性を高めています。コンパクト住宅ながら、1層目と3層目のそれぞれに洗面所とトイレを設けた理由は?
「まだ小学生ですが娘がいるので、洗面所などが一つでは将来、朝の身支度で混雑するかと思ったので」と優しいお父さんの笑顔が浮かぶNさん。

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

階段ホールを中心に優しい光が舞う屋内

 玄関ホールから始まる階段を上がっていくと、リビングのフロアが現れます。住まい空間の機能や目的を各フロアに割り振ることで、すっきりと仕上げるアイデアがキラリと光ります。
「たいてい家族はここに集まりますね」という読書好きなNさん一家の図書室を兼ねたリビング。その上のフロアにキッチンとダイニング、下の子が勉強室に使用しているロフトが、壁で仕切ることなく配置されています。奥さまが「家事動線が短いので家事がしやすい」と説明するキッチンから振り返るだけで、勉強室にいる子どもの様子まで視線が届きます。

 キッチンに関しては、奥さまの身長を配慮してシンク上の棚が目の高さに降りてくるウォールキャビネットが「とても便利」とのこと。キッチン裏側に洗濯機を置いた脱衣所があり、物干し場となるベランダへも一直線です。

 ふと目をやるとベランダへ出入りする開口部に、2匹の愛猫のためのキャットドアが設けられています。各個室のドアもキャットドアが設置されています。リビングの上部にも文字通りキャットウォークがあり、家族の誰よりも自由に各部屋を行き来しているとのこと。Nさん一家のネコ愛が伝わるエピソードが聞けました。

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

子ども部屋の間取りをフレキシブルに変更

 さらに階段を上がると子どもたち専用のフロア。当初は共用していた子供部屋ですが、2年経つ頃に上の子が勉強に集中できる環境を望んだため、2室に仕切ったそうです。空間アレンジはあらかじめ想定しており、ドアや窓の数をそのように備えていました。

 開放感あふれるルーフテラスは道路側の壁を斜めに高く取り、目隠しの役目も果たします。屋内では、ルーフテラスからの光がハイサイドライトとして降り注ぎ、乳白色の壁色が光を反射して全体を明るくしています。
「明るい住まい空間を求めた」と話すNさんの希望が、家の中心に階段ホールを据えた5層のスキップフロアというカタチとなって実現しました。
 

写真ギャラリー

5層のスキップフロアが 立体的な開放感を生む

敷地の個性と沖縄の自然環境を考え、家族の絆を深める伸びやかな住まいへ

studio jag 一級建築士事務所 代表 久志 直輝さん

 敷地が約23坪とあまり広くはなく、さらに北側の一部は河川の“のり面”となっているNさん邸のロケーション。のり面というのは河川が氾濫しないよう造られた土手のことで、Nさん邸ではそれが敷地の内側に入ってしまっている状態です。

 西側は交通量の多い大通りに面しており、南側は4メートルの位置指定道路、東側には隣家が間近に建つという周辺環境にあります。そのような条件や制約の中、いかに開放感と快適な住まい心地を創造するが、Nさん邸の課題となりました。

 2台分の駐車場を確保するために1層目の床面積はコンパクトにまとめ、2層以上は北側の河川に建物を張り出させました。建物の中央に階段を設けて縦の動線を構築し、西側と東側で半階層ずつの高低差をつけたスキップフロアという構成をとることで、伸びやかな開放感をかなえています。

 特にリビングやダイニングキッチンがある中間層は天井が高く、ロフトを設けたり縦動線を生かした吹抜けがあったりと、床面積以上の広がりを感じることができます。路地に臨む南側も、ダイニングキッチンに隣接する位置に大きなベランダを配置するなど、敷地を最大限に活用できるよう計画しました。

 ロケーションに対する工夫としては、大通りに面する西側はプライバシーの確保と厳しい西日対策のため開口部を最小限に抑えて、ダイニングキッチンとつながる南側のベランダへのアクセスとして大きな開口部を設け、中間層の通風と採光を確保しました。
 さらに中央の縦動線の最上階層は南と西に窓を設けることで、屋内全体に間接光を取り入れることができると同時に、煙突効果により空気の対流が生まれて快適な空調を保つことができます。

 厳しい沖縄の気候に即した環境対策としては、屋根や外壁には遮熱塗装を用いています。ご入居から半年間の実証データを記録したところ、上々の遮熱効果を確認できました。また開口部にはLow-E複層ガラスを採用し、室内環境の満足感を高めています。





設計・施工会社

studio jag(スタジオジャグ)一級建築士事務所

TEL:098-874-0255http://www.studio-jag.net

TEL:098-874-0255http://www.studio-jag.net

浦添市宮城3-7-5-101

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